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院長ブログ

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内科、睡眠

帯状疱疹は80歳までに3人に1人❗️50歳から考えたいワクチン予防💉

帯状疱疹は、80歳までに約3人に1人が発症するといわれる、決して珍しくない病気です。
特に50歳を過ぎると発症する方が増え、皮膚の症状が治った後も、長期間にわたって痛みが残ることがあります。
今回は、帯状疱疹の発症リスクや後遺症、ワクチンによる予防効果、公費助成制度についてご紹介します。

 

① 帯状疱疹とは?50歳代から増え、70歳代がピーク

帯状疱疹は、子どもの頃などにかかった水ぼうそうのウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が、体内に長期間潜伏し、再び活性化することで発症する病気です。
加齢や疲労、ストレスなどによって免疫の働きが低下すると発症しやすくなると考えられています。
体の左右どちらか片側に、ピリピリ、チクチクとした痛みや赤い発疹、水ぶくれが現れるのが特徴です。
宮崎県で行われた大規模疫学調査「宮崎スタディ」では、帯状疱疹の年間発症率が1997年の人口1,000人あたり3.61人から、2017年には6.07人へと増加したことが報告されています。
また、発症率は50歳代から上昇し、70歳代でピークを迎えます。[1][2]

 

② 本当に怖いのは、皮膚症状が治った後に残る痛み

帯状疱疹で特に注意したいのが、帯状疱疹後神経痛(PHN)です。
皮膚の発疹や水ぶくれが治った後も、神経の障害によって痛みが長期間続くことがあります。
国内の研究では、帯状疱疹を発症した方のうち、帯状疱疹後神経痛が認められた割合は次のように報告されています。

  • ✅ 60歳代:約13.6%
  • ✅ 80歳代:約32.9%

※発症割合は研究や診断基準によって異なります。[1]
特に高齢になるほど後遺症のリスクが高くなることが分かっています。
痛みが数か月から数年続くこともあり、夜眠れなくなったり、衣服が触れるだけでも痛みを感じたりするなど、日常生活に大きな影響を及ぼす場合があります。
帯状疱疹は、皮膚の症状が治れば終わりとは限らない病気なのです。

 

③ 帯状疱疹ワクチンは2種類。予防効果はどれくらい?

現在、日本で使用されている帯状疱疹ワクチンには、次の2種類があります。

  • ● 生ワクチン(ビケン)

    接種回数:1回
    接種方法:皮下注射
    特徴:1回で接種が完了する
    注意点:免疫機能が低下している方や、免疫を抑える治療を受けている方などは接種できない場合があります。

  • ● 組換えワクチン(シングリックス)

    接種回数:2回
    接種方法:筋肉注射
    接種間隔:通常2か月、原則6か月以内に2回目を接種
    特徴:高い予防効果が長期間持続することが期待されています。

厚生労働省によると、帯状疱疹の発症予防効果は次のとおりです。[6]

接種後の期間 生ワクチン シングリックス
1年時点 約60% 90%以上
5年時点 約40% 約90%
10年時点 データなし 約70%

 

※予防効果は、接種していない場合と比較して発症リスクをどれくらい減らせるかを示したものです。
また、帯状疱疹後神経痛に対しても、接種後3年時点で、生ワクチンは約60%、シングリックスは90%以上の予防効果が報告されています。[6]
シングリックスは大規模臨床試験でも高い予防効果が確認されており、50歳以上で97.2%、70歳以上で91.3%の発症予防効果が報告されています。[3][4]
一方、シングリックスは接種部位の痛みや筋肉痛、疲労感、発熱などの副反応が比較的多いことが知られています。通常は数日以内に改善しますが、症状が強く出る場合もあります。
それぞれに特徴があるため、年齢や健康状態などを踏まえ、医師と相談して選ぶことが大切です。

 

④ 2025年4月から公費による定期接種が始まりました

2025年4月から、帯状疱疹ワクチンが定期接種の対象となりました。[7]
主な対象者は、その年度に65歳になる方です。
さらに、2025年度から2029年度までの5年間は経過措置として、その年度に次の年齢になる方も対象となります。
70歳・75歳・80歳・85歳・90歳・95歳・100歳

対象となる方は、公費による助成を受けてワクチンを接種できます。
ただし、自己負担額や実施期間は自治体によって異なります。
また、経過措置の対象年齢に該当する年度を逃すと、原則として、その後は定期接種の対象にならないため注意が必要です。
50歳以上で定期接種の対象とならない方も、自費でワクチンを接種することができます。
詳しくは、お住まいの市町村や医療機関へお問い合わせください。

 

⑤ 睡眠と帯状疱疹には関係がある?

帯状疱疹は、免疫の働きと深く関係している病気です。
台湾で行われた大規模な観察研究では、睡眠障害のある方は、睡眠障害のない方と比較して、帯状疱疹の発症リスクが約1.23倍高かったと報告されています。[8]
ただし、これは観察研究による結果であり、睡眠障害が直接帯状疱疹を引き起こすと証明されたわけではありません。
十分な睡眠をとり、規則正しい生活を心がけることは、健康維持のために大切です。
一方で、睡眠を整えるだけで帯状疱疹を予防できるわけではないため、ワクチンによる予防も検討しましょう。

 

⑥ 帯状疱疹が疑われたら早めに受診を

ワクチンを接種していても、帯状疱疹を完全に防げるわけではありません。
体の片側にピリピリとした痛みや赤い発疹、水ぶくれなどが現れた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
帯状疱疹は、発疹が出てからできるだけ早く、一般的には72時間以内に抗ウイルス薬による治療を開始することが望ましいとされています。
特に顔や目、耳の周囲に症状が現れた場合は、視力や聴力、顔面神経などに影響することもあるため、早急な診察が必要です。

 

まとめ|50歳を過ぎたら、一度ワクチンを検討してみませんか?

帯状疱疹は、80歳までに約3人に1人が発症するといわれ、年齢とともに発症リスクが高くなる病気です。
特に注意したいのは、皮膚症状が治った後も長期間続く帯状疱疹後神経痛です。
帯状疱疹ワクチンには発症や後遺症を予防する効果が認められており、50歳以上の方は接種を検討することができます。
また、65歳の方や経過措置の対象年齢に該当する方は、公費助成を利用できる場合があります。
「まだ自分は大丈夫」と思っている方も、50歳を過ぎたら一度、帯状疱疹ワクチンについて考えてみてはいかがでしょうか。
当院でも帯状疱疹ワクチンについてのご相談を受け付けております。
接種を希望される方や、どちらのワクチンがよいか迷われている方は、お気軽にご相談ください。

 

【参考文献】
[1] 厚生労働省「帯状疱疹ワクチンファクトシート」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001165469.pdf
[2] Shiraki K, et al. Open Forum Infectious Diseases. 2017;4(1):ofx007.
[3] Lal H, et al. Efficacy of an Adjuvanted Herpes Zoster Subunit Vaccine in Older Adults. N Engl J Med. 2015;372:2087–2096.
[4] Cunningham AL, et al. Efficacy of the Herpes Zoster Subunit Vaccine in Adults 70 Years of Age or Older. N Engl J Med. 2016;375:1019–1032.
[5] Strezova A, et al. Long-term Protection Against Herpes Zoster by the Adjuvanted Recombinant Zoster Vaccine. Open Forum Infect Dis. 2022;9(10):ofac485.
[6] 厚生労働省「帯状疱疹ワクチン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/shingles/
[7] 厚生労働省「帯状疱疹ワクチンの定期接種を実施します」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001491611.pdf
[8] The Incidence and Risk of Herpes Zoster in Patients With Sleep Disorders: A Population-Based Cohort Study. PMC4839876.

 

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