いびき、睡眠時無呼吸症候群、内科
睡眠不足で太るって本当❓肥満・糖尿病・高血圧との関係を睡眠専門医が解説
睡眠不足は肥満・糖尿病・高血圧とも深く関係しています🐑
- ✅ 最近、睡眠時間が足りていない
- ✅ しっかり寝たはずなのに疲れが取れない
- ✅ 以前より体重が増えやすくなった
そんなことはありませんか?
実は睡眠不足は、単に日中の眠気や集中力低下を引き起こすだけではありません。近年の研究では、睡眠時間が短い状態や質の悪い睡眠が続くことで、食欲や血糖、血圧などに影響し、肥満・糖尿病・高血圧などの生活習慣病と関連することが分かってきています。
当院の睡眠外来でも、福岡市や那珂川市、春日市などから、いびきや日中の眠気だけでなく、体重増加や高血圧などをきっかけに相談に来られる方がいらっしゃいます。
今回は、睡眠と肥満・生活習慣病の関係について解説します。
◎なぜ睡眠不足になるのでしょうか?
十分な睡眠がとれない理由は人それぞれです。仕事や残業、育児や介護、受験、精神的なストレス、シフトワークなどによって、どうしても睡眠時間が短くなってしまうことがあります。
また、睡眠時間そのものは確保していても、「長く寝ているのに、よく眠れていない」という方もいます。その代表的な原因のひとつが、睡眠時無呼吸症候群(SAS)です。
睡眠時無呼吸症候群では、眠っている間に何度も呼吸が止まったり浅くなったりすることで、本人が気づかないまま睡眠が繰り返し分断されます。そのため、7~8時間ベッドに入っていても、実際には十分な休息がとれていないことがあります。
◎睡眠不足になると食欲が増える?
私たちの体では、さまざまな仕組みによって食欲が調節されています。その代表的なものが、次の2つのホルモンです。
- ● レプチン:主に脂肪細胞から分泌され、食欲を抑える方向に働くホルモン
- ● グレリン:主に胃から分泌され、食欲を高める方向に働くホルモン
睡眠不足になると、こうした食欲を調整する仕組みに変化が起こり、食欲が増えやすくなる可能性が報告されています。
さらに、睡眠時間が短くなると起きている時間そのものが長くなるため、夜食や間食の機会も増えてしまいます。また、睡眠不足による眠気や疲労があると、甘いものや脂肪の多い食品など、高カロリーな食べ物を選びやすくなることも指摘されています。
つまり睡眠不足は、単に「食べる量」だけではなく、「何を食べるか」まで変えてしまう可能性があるのです。
◎睡眠不足は血糖値にも影響します
睡眠不足の影響は、食欲だけではありません。睡眠不足が続くと、血糖値を下げる働きをするインスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」が生じやすくなります。
その結果、同じような食事をしていても血糖値が上がりやすくなり、長期的には糖尿病の発症リスクにも影響すると考えられています。
- ✅ 最近、血糖値やHbA1cが上がってきた
- ✅ 食事には気をつけているのになかなか改善しない
という方では、食事や運動だけでなく、睡眠についても一度見直してみることが大切です。
◎高血圧にも睡眠が関係します
本来、私たちの血圧は睡眠中に低下します。ところが、睡眠時間が短かったり、睡眠の質が悪かったりすると、夜間の血圧が十分に下がらなくなることがあります。
特に睡眠時無呼吸症候群では、無呼吸が起こるたびに酸素濃度が低下し、交感神経が活発になります。
そのため、睡眠時無呼吸症候群は高血圧、特に薬を飲んでもなかなか下がらない治療抵抗性高血圧と関連することが知られています。
「血圧の薬を飲んでいるのになかなか下がらない」という方に、睡眠時無呼吸症候群が隠れていることもあります。
◎「太ったから眠れない」だけではありません
肥満と睡眠には、実は双方向の関係があります。体重が増えると、首やのどの周囲にも脂肪がつきやすくなり、空気の通り道である気道が狭くなるため、睡眠時無呼吸症候群を発症・悪化させる原因になります。
一方で、睡眠不足や質の悪い睡眠が続くことで、食欲や代謝に影響し、体重が増えやすくなる可能性があります。
肥満 → 睡眠時無呼吸症候群 → 睡眠の質が低下 → 食欲や代謝に影響 → さらに体重が増える
という悪循環に陥ってしまうことがあります。
「太ったからいびきをかくようになった」と考えるだけではなく、睡眠の問題が体重増加に影響している可能性も考えてみる必要があります。
◎良い眠りのために、まず生活習慣を見直しましょう
睡眠は「時間」だけでなく「質」も大切です。まずは普段の生活を振り返ってみましょう。
- ● 毎日の就寝・起床時間が大きくずれていないか
- ● 夕食や夜食の時間が遅くなっていないか
- ● 日中に適度に体を動かしているか
- ● 夕方以降にカフェインを摂りすぎていないか
- ● 寝酒が習慣になっていないか
- ● 寝る直前までスマートフォンを見続けていないか
こうした生活習慣を整えることは、良い睡眠につながるだけでなく、肥満や生活習慣病の予防という点でも大切です。
◎睡眠時間だけでなく「睡眠の質」も大切です
「毎日7時間くらい寝ているから大丈夫」とは限りません。例えば、次のような場合は、睡眠時間が足りていても、睡眠の質が低下している可能性があります。
- ● 大きないびきをかく
- ● 寝ている間に呼吸が止まっていると言われる
- ● 夜中に何度も目が覚める
- ● 朝起きても疲れが残っている
- ● 日中に強い眠気がある
特に、いびきや無呼吸がある方では睡眠時無呼吸症候群が隠れていないか確認することが大切です。
◎こんな方は一度ご相談ください
- ✅ 眠れない日が続いている
- ✅ 十分寝ているはずなのに疲れが取れない
- ✅ 日中に強い眠気がある
- ✅ 大きないびきを指摘されたことがある
- ✅ 寝ている間に呼吸が止まっていると言われた
- ✅ 最近体重が増え、いびきもひどくなった
- ✅ 高血圧や糖尿病があり、睡眠にも不安がある
- ✅ 血圧の薬を飲んでいるのになかなか血圧が下がらない
このような場合、単なる「睡眠不足」だけではなく、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害が隠れている可能性があります。
当院では、福岡エリアで睡眠外来を行っており、睡眠の状態や生活習慣、いびき・無呼吸などを総合的に診療しています。
「眠れない」「寝ても疲れが取れない」「いびきや無呼吸が気になる」という方は、お気軽にご相談ください。
睡眠を見直すことは、毎日の体調を整えるだけではありません。将来の肥満、糖尿病、高血圧などの生活習慣病を予防するという意味でも、とても大切です。
【参考文献】
Lin J, et al. Associations of short sleep duration with appetite-regulating hormones and adipokines: A systematic review and meta-analysis. Obesity Reviews. 2020.
慶應義塾大学保健管理センター 後藤伸子. 睡眠障害と糖代謝異常.
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